今週は、源泉徴収の対象額についてご紹介いたします。
■源泉徴収の対象額について
講演料や税理士報酬など一定の報酬・料金等については、原則として、消費税額等を含めた「税込価格」が源泉徴収の対象となります。
ただし、講演者や税理士など報酬等を請求する者(以下、請求側)が発行する請求書等に、報酬等の「本体価格」と「消費税額等」が明確に区分されている場合は、例外的に、「本体価格」のみを源泉徴収の対象とすることができます。
■消費税免税事業者に支払う報酬等
上記のルールはインボイス制度下においても変わるところはございません。
しかしながら、消費税免税事業者に支払う報酬・料金等について、一部のシステムでは、仕入税額控除対象外部分を加算した金額が源泉徴収の対象であると、誤って認識する場合があるようです。
以下の例でご説明いたします。
【例】
X社(支払側)が、免税事業者である講演者のA氏(請求側)に、令和5年10月分の報酬料金1,100円(税込)を支払います。
上記のケースで、消費税法上、経過措置を適用して仕入税額相当額の80%を仕入税額控除の対象とする場合、仕入税額控除対象外部分に当たる残りの20%相当額である20円を報酬料金に含めることとなりますので、次の仕訳となります。
支払報酬料 1,020 / 現金 1,100
仮払消費税等 80 /
こちらのケースに上記源泉徴収の対象額のルールを適用した場合、源泉徴収の対象額は次の通りとなります。
・原則的な取扱い:1,100円(税込価格)
・例外的な取扱い:1,000円(本体価格)
会計システム等によっては源泉徴収の対象額を1,020円と誤認してしまう可能性がございますので、ご使用の際は源泉徴収の対象額を正しく認識しているかご確認することをお勧めいたします。
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