今回は、資産に関する法人税務の内、有価証券の期末評価についてご説明いたします。
1.はじめに
法人が事業年度終了の時に有する有価証券は、一定の方法により評価した金額をもって、事業年度終了の時における評価額となります。
その評価方法は、売買目的有価証券と売買目的外有価証券(売買目的有価証券以外の有価証券)とで異なります。以下、順にそれぞれご説明いたします。
2.売買目的有価証券の期末評価額
(1)期末評価額
売買目的有価証券は、時価法により評価した金額をもって、事業年度終了の時における評価額とします。
時価法とは、事業年度終了の時において有する有価証券を銘柄の異なるごとに区別し、その銘柄を同じくする有価証券について、一定の有価証券の区分に応じそれぞれの定める価格にその有価証券の数を乗じて算出した金額をその時の評価額とする方法をいいます。
例えば、取引所売買有価証券(売買が主として一定の金融商品取引所において行われている有価証券)は、金融商品取引所において公表された事業年度終了の日の最終の売買の価格により評価します。
こちらの価格にその有価証券の数を乗じて算出した金額が評価額となります。
ただし、その終了の日の最終の売買の価格がない場合には、その終了の日の最終の気配相場の価格とし、そのいずれもない場合には、その終了の日に最も近い日の最終の売買の価格又は最終の気配相場の価格を基礎とした合理的な方法により計算した金額となります。
(2)評価益又は評価損の益金又は損金算入
法人が、事業年度終了の時において売買目的有価証券を有する場合には、その売買目的有価証券のその時における評価益又は評価損の金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、益金の額又は損金の額に算入されることになります。
(3)翌事業年度における処理等
上記(2)に基づきその事業年度の益金の額又は損金の額に算入した評価益又は評価損に相当する金額は、翌事業年度の所得金額の計算上、損金の額又は益金の額に算入するとともに、翌事業年度開始の時におけるその売買目的有価証券の帳簿価額は、評価益に相当する金額を減算し、又は評価損に相当する金額を加算した金額とし、洗替計算を行うこととなります。
例えば、当期に評価益が発生した場合、翌期は評価益に相当する金額が損金の額に算入されます。
そして、その売買目的有価証券の翌期の帳簿価額は、洗替計算を行いますので、その評価益に相当する金額を減算した金額となります。
3.売買目的有価証券の期末評価額
売買目的外有価証券は、原価法により評価した金額をもって、事業年度終了の時における評価額とします。
原価法とは、事業年度終了の時において有する有価証券について、その時における帳簿価額をもってその時の評価額とする方法をいいます。
以上となります。
次回は、固定資産の取得価額について紹介させていただきます。
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