税務上において「時価」とは客観的交換価値と解され、客観的交換価値とは、即ち不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格であり、 市場価格や純然たる第三者間における公正な取引価格をいう。
しかし、非上場株式については市場価格が存在せず、過去の取引事例を把握することも困難であることから、 その「時価」を把握することが困難である。
そのため、非上場株式の「時価」の算定にあたっては、各税法(相続税法、法人税法、所得税法)の基本通達に従い「時価」を算定することが、 実務上は一般的である。
どの基本通達を適用して「時価」を算定するかは、売り手と買い手が個人なのか、それとも法人なのかにより異なる。
(1)売り手が個人、買い手も個人の場合
個人・・・相続税法上の「時価」(財産評価基本通達178以下)
(2)売り手が個人、買い手が法人の場合
①個人・・・所得税法上の「時価」(所得税法基本通達23~35、同59-6)
②法人・・・法人税法上の「時価」(法人税法基本通達9-1-13、同9-1-14)
(3)売り手が法人、買い手が個人の場合
①法人・・・法人税法上の「時価」(同上)
②個人・・・所得税法の「時価」(同上)
(4)売り手が法人、買い手も法人の場合
法人・・・法人法上の「時価」(同上)
なお、法人税法上の「時価」と所得税法の「時価」は、一定の条件のもとで相続税法の「時価」の算定方法に準じて算定することも認められる。