法人税法における基礎項目の4回目は、所得の金額についてご説明いたします。
法人税法上、課税対象の利益は「各事業年度の所得の金額」と定められ、この所得の金額に税率を乗じて法人税額が計算されます。
1.各事業年度の所得の金額
各事業年度の所得の金額は、法人税法22条1項で規定され、以下のように計算されることになっています。
「各事業年度の所得の金額」=「その事業年度の益金の額」-「その事業年度の損金の額」
具体的には、別段の定めがあるものを除き、「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」(法22④)により計算された企業会計上の利益をベースに申告調整を行い、所得の金額を算出します。
2.益金
益金とは、別段の定めのあるものを除き、次のものをいいます。(法22②)
(1) 資産の販売に係る収益
(2) 有償又は無償による資産の譲渡に係る収益
(3) 有償又は無償による役務の提供に係る収益
(4) 無償による資産の譲受けに係る収益
(5) その他の取引(資本等取引を除く)に係る収益
3.損金
損金とは、別段の定めのあるものを除き、次のものをいいます。(法22②)
(1) 収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価
(2) 販売費、一般管理費、その他の費用の額
(償却費以外の費用でその事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)
(3) 損失(資本等取引を除く)
4.資本等取引
資本等取引とは、次のものをいいます。(法22⑤)
(1) 資本金等の額( )の増加又は減少を生ずる取引※
(2) 法人が行う利益又は剰余金の分配
(3) 残余財産の分配又は引渡し
※資本金等の額は、法人の資本金(出資金)の額と、一定の金額(増資額、減資額など)との合計額をいいます。
5.おわりに
企業会計上の収入・費用と税務会計上の益金(収入)・損金(費用)は必ずしも一致しません。企業会計は、企業の財政状態や経営成績を適切に開示することを目的とし、税務会計は、法人の経済活動から生じた所得金額を算定し公平な課税を行うことを目的としているため、それぞれの計算規定は異なっております。費用になると思って払ったものが法人税の計算上では費用にならなかったといったことがないよう注意が必要になります。
以上となります。
次回は、「青色申告制度」について紹介させていただきます。