東京都中央区銀座の会計事務所  税理士法人 C Cube

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税務トピックス

資産税
相続登記の申請義務化等

令和3年8月16日掲載

令和3年4月に所有者不明土地の解消に向けて民法等の一部改正等が行われました。

 

主な改正項目についてご紹介します。

 

【相続登記の申請義務化】

1.所有者不明土地とは

 

不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない土地、又は所有者が判明しても、その

所在が不明で連絡が付かない土地をいいます。

 

2.背景

 今まで相続登記の申請は義務ではなく、申請しなくてもデメリットが少ないもので

した。相続登記をすると、登録免許税がかかってしまいます。その為、相続人が登記

をせずに放置、遺産分割をしないまま相続が繰り返されると、土地共有者がねずみ算

式に増加していくことになります。

 また地方を中心に土地の所有意識が希薄化し、土地を利用したいというニーズが

低下していったことも、未登記の土地が増加していくことに拍車をかけていました。

 

3.問題点

 相続登記がされないこと等により所有者不明土地が発生すると、いざ登記をしよう

としても所有者の探索に多大な時間と費用が必要となります。

 また、土地が管理されず放置されることで近隣の土地への悪影響が発生したり、

 共有者が多数の場合や一部所在不明の場合、その土地の管理・利用の為の合意形成が

困難となります。

 こうした問題は、高齢化による死亡者数の増加により今後ますます深刻化する

おそれがある為、所有者不明土地問題の解決は喫緊の課題とされ、改正が行われる

こととなりました。

 

  4.改正の内容

不動産を取得した相続人に対し、その取得を知った日から3年以内の相続登記

申請が義務付けられました。申請漏れには過料の罰則が付くこととなります。

 【その他の改正項目】

1.住所変更登記

所有権の登記名義人に対し、住所等の変更日から2年以内の変更登記申請が

義務付けられました(申請漏れには過料の罰則あり)

また他の公的機関から取得した情報に基づき登記官が職権的に変更登記をする

方策が導入予定となります。

 

2.相続した土地の国庫への帰属

 相続等により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする

制度が創設されます。

 国庫に帰属させることができるのは、管理又は処分をするにあたり過大な

費用又は労力を要しない土地となります。例えば、土壌汚染や埋設物がある

土地、崖地、権利関係に争いがある土地等は対象外となります。

また、国庫に帰属させる場合、審査手数料、10年分の土地管理費相当額の

負担金を納付する必要があります。

 

3.長期間経過後の遺産分割の見直し

 相続開始から10年を経過したときは、個別案件ごとに異なる具体的相続分に

よる分割の利益を消滅させ、画一的な法定相続分で簡明に遺産分割を行う

仕組みが創設されます。

 

4.ライフラインの設備設置権等の規律の整備

 ライフラインを自己の土地に引き込むための導管等の設備を他人の土地に設置

する権利を明確化し、隣地所有者不明状態にも対応できる仕組みが整備されま

す。

 

5.土地・建物の管理制度の創設

 所有者不明の土地・建物が管理されず放置されていることで他人の権利が侵害されるおそれがある場合に、裁判所が管理命令を発令し、管理人を選任する制度が創設されます(裁判所の許可があれば売却も可能)

 

6.共有物の利用の円滑化を図る仕組みの整備

 不明共有者がいる場合でも、裁判所関与のもとで、共有物の利用・処分を円滑に進めることが可能になります。

 

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