平成30年7月6日、約40年ぶりに民法が改正されました。
今回より3回に分けて①遺言書の改正、②配偶者居住権の創設、③その他の改正内容を
ご説明します。
今回は第1回「遺言書の改正」です。
1. 遺言書の種類
遺言書は下記3つの種類があります。
1. 自筆証書遺言
遺言者が自分で紙に遺言内容、氏名、日付を記載する遺言です。 特に費用がかからないため気軽に作成できますが、書き間違えや内容に不備があると無効になってしまうため、注意が必要です。
2. 公正証書遺言
遺言書を公正証書にしたもので、公証役場で作成します。公証人が法律の規定通り作成するため、確実に有効な遺言を残したいときに利用されています。
3. 秘密証書遺言
公正証書遺言と同様、公正役場で手続きしますが、遺言内容に関して公証人に知られずに作成できるため、内容を誰にも知られたくない場合に適しています。ですが、実務上あまり利用されていません。
2. 改正内容
1. 自筆証書遺言の緩和
① 内容
上記自筆証書遺言について、改正前は財産内容、氏名、日付などすべてを自筆で記載しなければなりませんでしたが、財産目録についてはPCで作成してもよいということになりました。
② 改正時期
平成31年1月13日から施行されています。
2. 法務局による自筆証書遺言書の保管
① 内容
自筆証書遺言書について、法務局で保管することが可能になりました。改正前は、遺言書が発見されなかったり、紛失・偽造のリスクがありましたが、法務局で保管することにより、速やかに遺言書の内容確認ができるようになりました。また、これまで必要とされていました遺言書の検認手続きが不要になります。
② 改正時期
令和2年7月10日から施行されています。
③ 方法
遺言者本人が法務局に出頭し、自筆証書遺言保管の申請を行います。 提出された遺言書は、法律上の形式を満たしているか確認され、原本を保管した上で、画像データとして記録されます。
なお、厳格な手続きのため、代理人の申請は認められていません。
「相続」を「争族」にしないためにも、遺言書により事前対策を行うことが重要です。 事前対策を検討される場合は、遠慮なくご相談ください!